気象データから見るカーポートの仕様
こんばんは。
いつもご覧いただきありがとうございます。
今回は
カーポートの強度と過去の気象条件との関連は?
というレポートです。
気象データは横浜気象台のものを使用しておりますのでご了承願います。
現在カーポートの多くは耐風圧38m/s相当の商品が多く販売されています。これはエクステリアに携わっている方なら良く知られていますが、なぜこの数値?となるとあまり知られておりません。
では何故でしょう?
正解は住宅の1階窓の耐風圧性に照らし合わせたものです。
住宅の窓・ドアがどれぐらいの風圧に耐えられるかを表す性能JIS等級
S-1 800pa(パスカル)=風圧36m/sに該当するものです。
ちなみに2階は44m/s、3階は51m/sのようです
(一般社団法人 日本サッシ協会HPより)
最近のカーポートは技術の向上により片側のみの柱【片支持】が多くなってきています。
数年前までは幅2.7mまでだったのが現在では3.3mの幅まで。
2台用のカーポートでも間口約5.4mや後方柱で5.9mまでのものが片側のみの柱で作られています。
横浜での過去の気象データは?
横浜で実際に最大瞬間風速40m/sを超えるような強風は過去にどれぐらいあったのでしょうか?
10回?20回?30回?・・・・・・
正解は7回です。
統計期間は1938年2月~の約78年間 平均的には10年に1回ということにはなりますが・・・。
順位 | 風速 | 日付 |
---|---|---|
1位 | 48.7m/s 北東 | 1938/9/1 |
2位 | 44.3m/s南南西 | 1949/8/31 |
3位 | 43.4m/s南西 | 2004/12/5 |
4位 | 42.2m/s南南東 | 1958/7/23 |
5位 | 41.5m/s北北西 | 1996/9/22 |
6位 | 41.4m/s南南東 | 1966/9/25 |
7位 | 40.8m/s南東 | 1982/8/2 |
8位 | 39.9m/s西 | 2004/10/9 |
9位 | 39.5m/s南南西 | 1985/7/1 |
10位 | 37.6m/s北東 | 1938/8/31 |
上記のデータとなりました。
一般に使用されているカーポートの標準耐風圧38m/sを超えたのをあわせても過去に9回なのです。
でも気象台って風通しのいいところで低い土地では?
横浜地方気象台ってどこ?
横浜気象台は
港の見える丘公園のすぐそば。
外人墓地の向かい側です。
海抜39.1mの場所にあります。
10年に1回しか無い強風のためにカーポートの強度を上げる?ということになりますね。
でもカーポートを立てる場所は様々。
風通りのいいところや高台。ビル風を受ける場所など様々な環境があるかと思います。
その場合は気象台発表よりも1.5倍にもなることもあります。
どう壊れるか?
最初に屋根パネルが剥がれます。
屋根が壊れる場合の多くは外部からの飛散物です。
本体が強風でひっくり返ります。。。。 いえいえ
本体がひっくり返ることはあまりありません。
もしカーポート組立費3万円なんて依頼された方・・・・。
基礎を手抜きしている恐れがあり倒れてしまうことも。。。
雪の重みで潰れそう。ということもありますが横浜では、実際に屋根からの落雪で壊れる物がほとんどでした。
耐積雪150cmのカーポートでも屋根からの落雪には耐えることはできません。
あくまでも重みに耐えられる数値であり、衝撃に耐えられるというものではありません。
補助柱が有効!?
強風対策には補助柱が有効です。
また補助柱+台風対策オプション(屋根パネル抜け防止材含む)をセットで取り付けることにより38m/s→46m/sとすることもできます。
また、最初からカーポートの剛性を強くし補助柱無しで42m/sのものもあります。
補助柱はあくまでも強風に対してのものであり、積雪のためのものではありません。
以前LIXIL社より高強度補助柱 と言うものが有りましたが、現在は販売されていません。
補助柱は脱着式となっており、強風時に取り付けて使用される方が多いです。
取り付けしやすいようにスライドしてはめ込んだり、引っ掛けたりして取り付けますので、上からの重みを支えると金具が曲がってしまいます。
数年前の大雪時にはサポートを付けましたが屋根が重みで5cmほど下がったところもあります。
でも倒壊は免れました。
サポート受けは地面に埋め込むものですがしっかりと既存の土間コンクリートに固定されないと強風で一緒に持ち上がってしまいます。
実際にちょこっとコンクリートを壊して埋めただけの場合剥がれている事例もあるようです。
雪の重みでも耐えられるカーポートは?
三協アルミ社 スノースカイ
写真は耐積雪50cmのものです。
屋根受けの梁材が多く入っています。
柱を4本→6本 にすることにより100cm
柱を8本にすることにより150cmの雪の重みに耐えられます。
耐積雪荷重は新雪時のものです。比重を0.3で計算していますので、通常のカーポート耐積雪20cmは約60kg/㎡。
耐積雪50cmのものは約150kg/㎡の重みに耐えられる事になります。
三協アルミ社 G-1
写真は耐積雪150cmのものです。
屋根受けの梁材を大きくしています。
これでも落雪では壊れてしまいます。
アルミ製品には限界が有りますね。
耐積雪には早めの雪下ろしを。
でも無理せずにご自身の身の安全を第一にして下さい。
実際どうしたら良い?
火災保険に入りましょう!
戸建てをお持ちの方はほとんど入っているかと思いますが、保険内容に住宅付属物が含まれていれば負担が少なく直せます。
落雪対策に屋根に雪止めを付けましょう。
カーポートの費用比較 三協アルミ社1台用 幅2700×奥行き5100×高さ2500 内外の場合
セルフィ
耐風圧38m/s 耐積雪20cm
¥256,900-
風速42m/sを追加した場合
¥294,700-
風圧46m/sを追加した場合
¥376,600-
カムフィエースZ
耐風圧42m/s 耐積雪50cm
¥436,300-
風速46m/sを追加した場合
¥514,000-
スノースカイ
耐風圧46m/s 耐積雪50cm 4本柱
サイズD3050×L5052×H2500
¥487,200-
ごく一例です。
様々なデザインが有りますのでお好み応じたものをお選び下さい。
カーポートの基礎はしっかりと
メーカーの総合カタログには基礎の大きさが記載されています。
上記は三協アルミ社 セルフィ のものです。
2700×5100サイズのもので
土間コンクリートがない場合 950×850×550mmの基礎が必要です。
土間コンクリートがある場合 450×450×550mmの基礎が必要です。
但し既存の土間コンクリートと鉄筋でつながっていなければいけません。
アスファルトやコンクリートを打っていないインターロッキング仕上げの場合は土間コンクリートなしの大きさとなります。
いかがでしたでしょうか?
気象の話は少しとなりましたが、ご参考になれば幸いです。
参考資料
横浜地方気象台ホームページより
三協アルミ社ホームページより
社団法人日本サッシ協会ホムページより
© 2016 yamaso.con.corp
本文に関しては個人的主観が多く含まれていおり、実際の性能を保証したり悲観するものではありませんのでご了承願います。
おまけ 横浜地方気象台 観測史上1~10位データ
横浜地方気象台HPより転記